作者 InterActive PH
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2009/05/20 Wednesday 18:18:04 JST |
Pharaoh Hound ファラオ(エジプトの王)の称号をもつ古代アフリカンハウンドの子孫で、5000年前のエジプト王の墓の中に この犬と似た体形の犬が描かれている事によって、ファラオの寵愛を受けていた犬と信じられています。 中東の遺跡ではこの犬種の体形に近い遺骨も発掘されていて、それが事実とすれば最も古くから家畜化され、猟犬として飼育されていた事になります。 さらに通説では約2000年前に、エジプト由来のこの犬がフェニキア商人によってマルタ島・ゴゾ島に渡り、 大陸から隔絶された狭い島の環境で純血性を永年保ってきたと言われている。 その結果、現在のファラオハウンドは古代エジプト時代とほとんど変わらない姿なのです。 より純粋に近い個体はゴゾ島に多いと言われ、マルタ島ではウサギ狩りの猟犬として数多く飼育されていて、 今もなお本来の名称「ケルブ・タル・フェネク」と呼ばれています。 ファラオハウンドは輝く琥珀色の目によって愛犬家を引きつけます。 古代エジプトの文献に「興奮するとこの犬の顔は輝く」とあり、興奮すると顔の色が紅潮する 現代のファラオ・ハウンドの特徴と一致するとしている。 ファラオハウンドは、アメリカではサイトハウンド(視覚狩猟犬)だと考えられていますが、 実際には視覚と嗅覚、さらには聴覚をも使って狩りをする猟犬です。 体高よりもわずかに体長が長く、軽やかで流れるような足取りで、 頭を高くあげて誇らしげに歩く姿が特徴的です。 この犬種は優雅な身のこなしと力強くすばやい動きで、狭い岩壁の間などどんな地形のところでも スルスルとすばしこく走り抜けることができます。
また、優れた嗅覚と聴覚を駆使して地面の下に隠れた動物たちの動きを逃すことなく追跡します。 1930年にゴゾ島からイギリスに輸入され、ドッグショーにデビューしたのは1963年で、 世界にその姿が知られるようになりました。 その時に先祖がエジプトからもたらされたという事と、高貴な印象から「ファラオハウンド」 というエキゾチックで神秘的な名前を与えられました。 ケルブ・タル・フェネクからファラオハウンドへの改名によるイメージ戦略で人気が上昇し、 世界にマルタの国名を広めたとしてマルタ共和国の国犬に指定され、銀貨も発行されています。
また小型犬よりも大型犬が人気の高い国々では高い人気を誇っており、実猟犬としても飼育されています。 アメリカケネルクラブが公認したのは1983年。日本が公認したのは1993年であり、 2018年度の日本国内の登録頭数(8頭)での順位は132位中の107位でまだまだ希少な存在です。 FCIの分類ではサイトハウンド<視覚ハウンド - 10G>ではなく、 プリミティブドッグ<原始的な犬 - 5G >に分類されています。
ファラオハウンドの魅力は、そのスタイルの良さとユニークな性格と優れた頭脳です。 見た目で誤解されがちな犬種ですが、甘えん坊で家族に対して忠実な犬種です。 ファラオハウンドは家の中では猫のように静かにしているのでソファひとつあれば飼えます。 屋外では非常に活発で、フリスビーをしたり、ドッグショーやアジリティに参加したりと いろんな事をすることが可能な犬種です。 インとアウトのギャップを楽しめるのも魅力のひとつと言えます。
ファラオハウンドは世界的にも希少であり、日本でも60頭前後で他犬種に比べて多くありません。 そしてペットショップで売られる事は、ほぼありません。 輸入する方法もありますが、個人では、ブリーダーのリサーチ・交渉・輸入の安全性、 確実性など非常にハードルが高いです。 外国産のファラオハウンド(その他の犬種も可能)を希望の場合、輸入代行をいたします。 希望する犬舎や血統があれば申し付けください。決まってなければ探す事も可能です。
≪ファラオハウンドを上手に飼うには≫
原産国マルタ共和国では現在でもなお、岩場などの自然環境でウサギ狩りに使われています。 ファラオハウンド(以下PH)は、サイトハウンドのような体形でありながら、直線を走るのが速いだけでなく、小回りもよく利き、跳躍力もある。 狭いドッグランでも上手に切り返し、非常に敏捷性があり運動性能が優れている。 サイトハウンドの仲間には、急ブレーキや急旋回が苦手なタイプもいて、止まりきれずケガをする犬もいるが、PHに関してはその心配はほとんどない運動神経抜群の犬である。 クイックリーな動きが得意なので、アジリティーにも向いているが従順にトレーニングをするタイプではないので、PHが楽しみながらゲーム感覚で訓練すれば、一緒にドッグスポーツを楽しむこともできます。 ただ跳躍力が優れているので、高いフェンスをも越えてしまう可能性がある。 呼びが効きにくい犬種でもあるので注意が必要です。
人間に対しての攻撃性がなく反抗的ではないので飼いにくい犬ではないが、 自立心・独立心が旺盛なタイプなので、人間と暮らすルールを教えていく忍耐が必要です。 コリーやレトリーバー、シェパードのような俗にいう訓練の入りやすい犬種のようにはいきません。 PHは繊細で感受性が強いので、怒鳴りつけたり暴力的に抑え込もうとするような行為は逆効果になります。 気持ちを穏やかに焦らず、忍耐強く、コツコツと長期にわたり、一つずつ適したやり方で教えること。 そしてあまり期待しないでください。つまりPHが従順な犬じゃないのではなく、躾ける側がいかにうまく操れるかである。
人間に対して従順でコマンドを待ち望んでいるようなタイプとは本質的に違います。 PHは、そもそも自分の考えをしっかり持った自己判断能力の高い犬だというだけである。 よって「呼んだらすぐ来る」「教えたらすぐ覚える」というような従順な犬がお好みの人は扱いに悩むことになります。 厳しい教え方や体罰などをすると犬は混乱し、飼い主に対する不信感を募らせてしまいます。 神経質な一面があるため、飼い主が「PHとはこういうものだ」と思い接してほしい。 生命の危険がないような問題ならば多少のことは大目に見てあげましょう。
どの犬種も仔犬のときは多かれ少なかれ、好奇心旺盛でヒマをもてあまして色んなものを壊したりします。 タオル・携帯電話・スリッパなど、いろいろなもので遊びたがる。強者になると床や壁を囓ったりもする。 留守番時間が長いとストレスが溜まって何をしでかすかわからないが、誤飲などの事故は避けたいので、 留守番をさせる場合はクレートに入れるか、物を置かないスッキリした犬部屋を用意してその中で待たせるなどしてください。 PHとのおしゃれな都会的な暮らしを夢みているとしたら、現実とのギャップはかなり大きくなる可能性が大きいです。レアな犬種だけに珍しいことに目がくらんではいけない。犬はアクセサリーのようなものではあってはいけません。
小動物に対して敏感に反応します。 それは猟犬としての本能がそうさせるので、目の前に猫などが飛び出してきたときに、 リードの手を放してしまったり自分が転倒しないようにする注意が必要です。 小型犬に対して攻撃性があるPHもいるし、まったく攻撃しないPHもいる。 前者の場合、ドッグランなどで小型犬を追い詰めたがる行動があるので、 中に入らないか又はマズルガードを着用して相手の犬を狩ることのないように配慮しましょう。
PHは世界的にも飼育頭数が多くないので、病気の臨床データが少ないだけなのかもしれないが、 現時点では他犬種と比べても病気が少ない犬種である。 人間が人為的に犬種改良をしてきた歴史が短いので、内臓や骨関節はかなり頑健な犬と思って大丈夫だろう。 もちろん個体差もあるので、病気が少なく長生きする犬だと断言することはできないが、 少なくとも遺伝性疾患などの病気が少なく、動物病院にお世話になる回数は少ないと期待できる。
ただ一部、知識に乏しく安易な考えの繫殖により不健全なPHが存在してる事実がある。 今後PHの飼育や繫殖を考えてる方は、そのあたりの見極めが難しいのでPHに長けた人物にアドバイスを受けたらよい。
≪麻酔について≫
避妊、去勢手術や歯石除去やMRI検査などを受ける場合には麻酔は必要とされます。 サイトハウンドは他犬種と比較してヘマトクリット値が平均値より高く、 麻酔する時には注意しなければなりません。 体表面積に対して体脂肪が少なく麻酔中と覚醒中に低体温に陥りやすく、 ストレスから様々な合併症が起きやすい。 チオペンタールとチオバルツール酸塩は感受性が高く、覚醒に長時間を要するので 用いることは厳禁とされています。 体表面積に対し体脂肪が少なく麻酔中と覚醒中に低体温に陥りやすく、ストレスから様々な合併症が起きやすい。 静脈麻酔で推奨されているのはケタミンとジアゼパム、フルニトラセパムのコンビネーション、 プロポフォールが良いとされている。 呼吸麻酔はイソフラン、セボフランが適しています。 愛犬が麻酔を必要とするような時は、サイトハウンドの経験が豊富な獣医師か 事前に信頼のおける獣医師とよく相談して処置を受けるようにしてください。
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最終更新日 ( 2021/04/18 Sunday 23:52:49 JST )
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